2005-02-28
airphoto of Shimodate
宛名(机下、侍史等)
かつて、市役所に照会の手紙を送ったら、その返事が、私の名前の下に「御中」と書かれて
返信されてきて、ひどく驚いたことがある。個人には「様」、会社・団体には「御中」をつけるなどは、仕事の知識以前のレベルかと思っていたが、案外、難しいと感じる人も多いようだ。
たとえば、「○○課の誰」という場合によくある間違いは「○○課御中 誰様」と並べる人が多い。こういう場合は、「○○課」までを住所とみなして、封筒の真ん中には、個人名に「様」をつけるのが正しい。
ついでに言えば「御中」とは、連中などというときの「中」と同じく、集まっている人々という意味の「中」の字に、敬語として「御」をつけたものだ。言い換えれば、「○○会社に集まっている皆様へ」という意味だ。
非常に間違えやすいのが「各位」という宛名だ。これは個人に宛てているわけでなく、「皆様へ」という、あて先の意味も含んだ漢語表現であるから、これを「各位殿」などとやってはいけない。
こうした宛名のルールというものは、現代だけにあるものではない。たとえば、江戸時代、家老に文書を出す場合は、直接、本人へ宛てるのは恐れ多いとして、家来宛に取り次ぎを頼むというのが形式だった。とはいえ、「御取次衆」と宛名に書いてあっても、べつにそんな存在はいないのである。本人が読むのだが、もったいをつけているのだ。
福沢諭吉の兄、三之助は、漢学の素養があったため、家老への文書の宛名を唐風に「○○様
下執事」とした。意味は同じである。ところが相手は、「下執事」の意味がわからないものだから、無礼な手紙だと三之助につき返した。これを見て諭吉は、無知なものが上に立って威張ることの不条理に憤ったというエピソードである。
同様に、「陛下」「殿下」「閣下」というのも、実は直接本人を呼んでいるのではないのだ。たとえば「陛下」とは、「陛(きざはし、階段)の下」という意味である。これは、きざはしの上にいる尊い人へ取り次ぐために、下で控えている人々への呼びかけである。
同様に、「殿下」「閣下」というのも、それぞれ、「殿」「閣」など、2階以上のフロアがある建物の下で取り次ぐ人々をあらわしている。
直接、本人に呼びかけるのではなく、取り次ぎの者を通すというスタイルをとって、相手と自分とに差をつけて敬意を表す。こういうスタイルとしては、「侍史」「机下」というものもある。
「○○様侍史」「○○様机下」と使う。「侍史」は、身分の高い者に仕える書記のこと。「机下」は「恐れ多いので机の下に置いてください」という意味である。
こうした表現を使うのは、かえって年配の方が多いから、文字通り机の下などに放り出しておいた日には、無礼なやつだとさんざん叱られるだろう。
返信されてきて、ひどく驚いたことがある。個人には「様」、会社・団体には「御中」をつけるなどは、仕事の知識以前のレベルかと思っていたが、案外、難しいと感じる人も多いようだ。
たとえば、「○○課の誰」という場合によくある間違いは「○○課御中 誰様」と並べる人が多い。こういう場合は、「○○課」までを住所とみなして、封筒の真ん中には、個人名に「様」をつけるのが正しい。
ついでに言えば「御中」とは、連中などというときの「中」と同じく、集まっている人々という意味の「中」の字に、敬語として「御」をつけたものだ。言い換えれば、「○○会社に集まっている皆様へ」という意味だ。
非常に間違えやすいのが「各位」という宛名だ。これは個人に宛てているわけでなく、「皆様へ」という、あて先の意味も含んだ漢語表現であるから、これを「各位殿」などとやってはいけない。
こうした宛名のルールというものは、現代だけにあるものではない。たとえば、江戸時代、家老に文書を出す場合は、直接、本人へ宛てるのは恐れ多いとして、家来宛に取り次ぎを頼むというのが形式だった。とはいえ、「御取次衆」と宛名に書いてあっても、べつにそんな存在はいないのである。本人が読むのだが、もったいをつけているのだ。
福沢諭吉の兄、三之助は、漢学の素養があったため、家老への文書の宛名を唐風に「○○様
下執事」とした。意味は同じである。ところが相手は、「下執事」の意味がわからないものだから、無礼な手紙だと三之助につき返した。これを見て諭吉は、無知なものが上に立って威張ることの不条理に憤ったというエピソードである。
同様に、「陛下」「殿下」「閣下」というのも、実は直接本人を呼んでいるのではないのだ。たとえば「陛下」とは、「陛(きざはし、階段)の下」という意味である。これは、きざはしの上にいる尊い人へ取り次ぐために、下で控えている人々への呼びかけである。
同様に、「殿下」「閣下」というのも、それぞれ、「殿」「閣」など、2階以上のフロアがある建物の下で取り次ぐ人々をあらわしている。
直接、本人に呼びかけるのではなく、取り次ぎの者を通すというスタイルをとって、相手と自分とに差をつけて敬意を表す。こういうスタイルとしては、「侍史」「机下」というものもある。
「○○様侍史」「○○様机下」と使う。「侍史」は、身分の高い者に仕える書記のこと。「机下」は「恐れ多いので机の下に置いてください」という意味である。
こうした表現を使うのは、かえって年配の方が多いから、文字通り机の下などに放り出しておいた日には、無礼なやつだとさんざん叱られるだろう。
