2005-04-30
既婚の10代-40代、3割セックスレス
結婚している10代から40代の日本人男女の約3割が、最近1か月以上性交渉がなく、セックスレス傾向にあることが、厚生労働科学研究班などの調査でわかった。
この調査は、避妊教育プログラム開発などをテーマにする厚生労働科学研究班(主任研究者・佐藤郁夫自治医科大名誉教授)と日本家族計画協会が、昨年10月に実施した「男女の生活と意識に関する調査」。16~49歳の男女3000人を全国から無作為に選び、性行動について質問、1580人が回答した。
性交渉の経験があると答えた1329人に、この1か月間の回数を聞いたところ、最も多いのが「なかった」の35・2%。現在結婚している人に限ってみると31・9%(男性28・4%、女性34%)だった。また「1回」から「4回」までがそれぞれ1割前後だった。
日本性科学会は、特別な事情がないのに、性交渉などが1か月以上ない場合を「セックスレス」と定義しており、今回の結果から3割以上が、その傾向にあることが明らかになった。
結婚しているセックスレスの人の傾向を分析したところ、性交渉に関心が薄く、異性とかかわることを面倒だと感じる一方、避妊方法を相手と十分相談しないなどコミュニケーション上の問題も見られた。また19・2%は、1年以上の長期間性交渉がなかった。
日本人の性交渉頻度の少なさは、海外の大手コンドームメーカーの調査でも明らかで、2004年の結果によると、世界平均は年間103回なのに対し、日本は46回と半分以下だった。
日本家族計画協会の北村邦夫常務理事は「行政になじみにくいテーマかもしれないが、少子化対策としてセックスレスの問題にもっと真剣に取り組むべきではないか」と話している。
(2005/4/25/22:34 読売新聞 無断転載禁止)
この調査は、避妊教育プログラム開発などをテーマにする厚生労働科学研究班(主任研究者・佐藤郁夫自治医科大名誉教授)と日本家族計画協会が、昨年10月に実施した「男女の生活と意識に関する調査」。16~49歳の男女3000人を全国から無作為に選び、性行動について質問、1580人が回答した。
性交渉の経験があると答えた1329人に、この1か月間の回数を聞いたところ、最も多いのが「なかった」の35・2%。現在結婚している人に限ってみると31・9%(男性28・4%、女性34%)だった。また「1回」から「4回」までがそれぞれ1割前後だった。
日本性科学会は、特別な事情がないのに、性交渉などが1か月以上ない場合を「セックスレス」と定義しており、今回の結果から3割以上が、その傾向にあることが明らかになった。
結婚しているセックスレスの人の傾向を分析したところ、性交渉に関心が薄く、異性とかかわることを面倒だと感じる一方、避妊方法を相手と十分相談しないなどコミュニケーション上の問題も見られた。また19・2%は、1年以上の長期間性交渉がなかった。
日本人の性交渉頻度の少なさは、海外の大手コンドームメーカーの調査でも明らかで、2004年の結果によると、世界平均は年間103回なのに対し、日本は46回と半分以下だった。
日本家族計画協会の北村邦夫常務理事は「行政になじみにくいテーマかもしれないが、少子化対策としてセックスレスの問題にもっと真剣に取り組むべきではないか」と話している。
(2005/4/25/22:34 読売新聞 無断転載禁止)
2005-04-21
宮田佳代子
「まるで若鮎の群れが水中をすばやく駆け抜けていくかのように、心地よい爽快な筆触がいっさいの躊躇なく、一気に掃かれている。長谷川等伯だって、これを見たら仰天して、「松林図」の制作助手を頼みにくるのではないかと思うほどだ。」
丹尾安典「無垢の力 十選」(日本経済新聞 2005.4.22)
丹尾安典「無垢の力 十選」(日本経済新聞 2005.4.22)
2005-04-13
全盲の大里さん、23年かけ医師合格
原因不明の眼病で全盲になったひたちなか市山ノ上町の無職、大里晃弘さん(50)が今春、医師国家試験に合格した。研修先が見つからないなど早くも困難にぶち当たっているが、「閉じた目に心を開く患者もいるはず」と、前向きに精神科医を目指している。
大里さんは子供のころ、祖父ががんで亡くなったときに「がんなんてなくなればいい。医者になりたい」と思ったのがきっかけで医師をめざすように。懸命に勉強し、東京医科歯科大医学部に進学した。
しかし順調だった道は大学四年だった二十三歳のときに暗転。原因は不明だが左目が網膜剥離を起こし、やがて右目の視力も落ちていった。手術を受けたが視力回復には至らなかった。
大学卒業直後の昭和五十七年、わずかに残った視力で国家試験を受験したが不合格だった。視力を補助する拡大機で文字は読めたが、心電図やレントゲン写真が見えなかった。
その後、視覚障害は進み全盲状態に。当時の医師法で欠格条項に該当するため医師への道を断念した。
しかし、平成十三年に医師法が改正され、全盲の視覚障害者も医師になれるようになった。再び開かれた扉だったが、鍼灸(しんきゅう)師をしていた大里さんは「どうしようか」と躊躇(ちゅうちょ)した。けれど「君にはやる義務があるよ」という同じ障害を持つ友人たちの励ましで再挑戦を決意した。
再挑戦は簡単ではなかった。点字の受験参考書などないためボランティアに問題集や参考書を読んでもらうのだが、ボランティアは医学の素人。大里さんが病名や専門用語の読み方を教えながら、二人三脚で第一歩を踏み出した。
周囲の協力を得て徐々にペースをつかんだ大里さんだが、十五年、十六年と受験に失敗。三度目の正直を狙い、昨夏には仕事をやめ、受験一本に専念する態勢を整えた。その甲斐あって今年三月、ようやく合格を勝ち取った。
喜びいっぱいの大里さんだが、実は早くも困難に直面している。設備や視覚障害者受け入れの経験がないなどの理由で、研修医としての引き受け先が見つからないのだ。最悪の場合、ただ試験に合格しただけ?ということもあり得る状況だ。
だが、最初の受験から二十三年ぶりに吉報を手にした大里さんはあくまで前向き。今は厚生労働省などと相談しながら引き受け先を探しており、「色々な形で患者さんが心を開けるような精神科医を目指したい」と目標を語っている。
産経新聞茨城版 2005.4.13
大里さんは子供のころ、祖父ががんで亡くなったときに「がんなんてなくなればいい。医者になりたい」と思ったのがきっかけで医師をめざすように。懸命に勉強し、東京医科歯科大医学部に進学した。
しかし順調だった道は大学四年だった二十三歳のときに暗転。原因は不明だが左目が網膜剥離を起こし、やがて右目の視力も落ちていった。手術を受けたが視力回復には至らなかった。
大学卒業直後の昭和五十七年、わずかに残った視力で国家試験を受験したが不合格だった。視力を補助する拡大機で文字は読めたが、心電図やレントゲン写真が見えなかった。
その後、視覚障害は進み全盲状態に。当時の医師法で欠格条項に該当するため医師への道を断念した。
しかし、平成十三年に医師法が改正され、全盲の視覚障害者も医師になれるようになった。再び開かれた扉だったが、鍼灸(しんきゅう)師をしていた大里さんは「どうしようか」と躊躇(ちゅうちょ)した。けれど「君にはやる義務があるよ」という同じ障害を持つ友人たちの励ましで再挑戦を決意した。
再挑戦は簡単ではなかった。点字の受験参考書などないためボランティアに問題集や参考書を読んでもらうのだが、ボランティアは医学の素人。大里さんが病名や専門用語の読み方を教えながら、二人三脚で第一歩を踏み出した。
周囲の協力を得て徐々にペースをつかんだ大里さんだが、十五年、十六年と受験に失敗。三度目の正直を狙い、昨夏には仕事をやめ、受験一本に専念する態勢を整えた。その甲斐あって今年三月、ようやく合格を勝ち取った。
喜びいっぱいの大里さんだが、実は早くも困難に直面している。設備や視覚障害者受け入れの経験がないなどの理由で、研修医としての引き受け先が見つからないのだ。最悪の場合、ただ試験に合格しただけ?ということもあり得る状況だ。
だが、最初の受験から二十三年ぶりに吉報を手にした大里さんはあくまで前向き。今は厚生労働省などと相談しながら引き受け先を探しており、「色々な形で患者さんが心を開けるような精神科医を目指したい」と目標を語っている。
産経新聞茨城版 2005.4.13
2005-04-04
名張再審決定:名古屋高裁決定の要旨
5日再審開始を決定した「名張毒ぶどう酒事件」の第7次再審請求に対する名古屋高裁決定の要旨は次の通り。
【有罪認定の根拠】
確定判決が被告人が犯人であると認定した根拠は、その判決内容及び第5次再審請求に対する特別抗告審決定を踏まえると、次のとおりであったと認められる。
すなわち(1)犯行の機会、場所に関する情況証拠として、本件の現場である公民館内から本件ぶどう酒瓶のものと認められる王冠(耳付き冠頭と四つ足替栓)及び封緘紙の破片が発見されていること、その封緘紙の破片と瓶口に付着する封緘紙の破片の各形状から元は一体のものであったと認められること、開栓が2度された形跡がないことなどからすると、本件の毒物が混入されたのは、ぶどう酒が三奈の会の懇親会会場である公民館に持ち込まれた以後であり、公民館囲炉裏の間においてぶどう酒瓶が開栓されたときであったと認められ、したがって、本件犯行の実行が可能であったのは、三奈の会の総会が始まる前に請求人がただ一人公民館にいた10分間の機会以外にはなく、他の者には犯行可能性がなかったことが認められる(2)現場で発見された四つ足替栓(ぶどう酒瓶の二重王冠の内栓)の表面にある傷痕は請求人の歯の跡であると認められるという鑑定結果が確定判決での根拠とされていたところ、第5次再審請求で提出された新証拠としての新たな鑑定によりその証明力は大幅に減弱されたものの、請求人の歯の跡であったとして矛盾しないとの証明力を有している(3)請求人の捜査段階における自白は信用できる(1)によって、請求人が犯人であることにつき合理的な疑いを入れる余地がないとされたものである。
【新証拠及び新旧証拠の総合評価】
本請求の新証拠は、次のとおりであり、刑訴法435条6号の新規性が認められるところ、新旧全証拠を総合評価した結果、次のような疑問が生じている。
(1)偽装的な開栓方法と犯行の機会
弁護人らにおいて、本件ぶどう酒の耳付き冠頭、四つ足替栓、封緘紙について、証拠物の観察、分析及び当時のデータを基にして複製をし、これらを用いて開栓実験をした結果、その開け方によっては、封緘紙を全く破損することなく開栓することができ、その後閉栓することにより、外見上元どおりの状態にしておくような偽装的な方法による開栓が可能であることが判明し、実験の報告書及びその状況を収録したビデオが提出された。
この新証拠を含めて新旧全証拠を再検討すると、毒物混入のための開栓時に封緘紙が破れたことを前提にして、封緘紙の破片の発見場所を根拠に毒物混入の場所を特定することはできないこととなり、本件ぶどう酒が公民館囲炉裏の間に持ち込まれる以前に毒物混入が行われた可能性も生じている。すなわち、ぶどう酒が三奈の会会長宅に届けられた時点から、同宅での保管を経て、請求人が公民館に運ぶまでの時間帯においても、何者かによる毒物混入の機会があった可能性があることになる。そのため、ぶどう酒が届いた時刻に関して新旧全証拠の再検討が必要となった。その検討の結果は、ぶどう酒が三奈の会会長宅に届いた時刻は請求人が公民館に運ぶ直前ではなく、その1時間以上前であり、その間にも何者かによる犯行の機会があったという疑いが生じている。その一方で、本件では他の者に毒物を入手する可能性がなかったとの立証は十分に行われていない。したがって、時間的な犯行の機会としても、毒物を入手する可能性という手段としても、他の者による犯行可能性が否定できないことになっている。
(2)四つ足替栓の証拠物としての特定性
本件事件の発生後、公民館の四畳半の間で発見された四つ足替栓の足は1本が極端に曲がっているが、新証拠として提出された、この形成原因を解析した塑性力学の専門家である石川孝司作成の鑑定書等によれば、その曲がりは人の歯によって形成されたものではなく、替栓が瓶口に固定されている状態のまま栓抜きのような平らな物が横から当てられた場合に形成されたことが判明した。
この新証拠を含めて新旧全証拠を再検討すると、本件ぶどう酒に装着されていた四つ足替栓にはそのような物による力が加えられた証拠はなく、替栓の内側の色、古さ、発見場所等旧証拠から認定される事実からも、本件の証拠物である四つ足替栓は本件ぶどう酒瓶のものではなかった疑いが生じている。したがって、四つ足替栓の痕跡が被告人の歯によるとしても矛盾しないとの証明力を有していたとされる鑑定書は、その前提が揺らいでおり、歯で開けたという請求人の自白を補強する意味は大幅に失われた。
(3)本件毒物の特定
本件の毒物は、ぶどう酒の飲み残りを検体として実施されたペーパークロマトグラフ試験による鑑定の結果、テップ(テトラエチルピロホスフェート)が検出されたため、有機燐テップ製剤であると特定された。当時の有機燐テップ製剤には数種類があったところ、ニッカリンTには、その特有な製造方法から必然的に含有されることとなる成分(トリエチルピロホスフェート)があり、同試験で対照物として検体と同様の処理を経て検査され、比較対照されたニッカリンTの試験結果にはその成分が検出されている。しかし、検体からはそれが検出されていなかった。当時の研究者は、その原因を加水分解したためと推測していた。しかし、新証拠として提出された有機化合物の研究者である宮川恒及び佐々木満作成の各鑑定書等によれば、当該成分(トリエチルピロホスフェート)の加水分解速度はテップのそれよりもかなり遅いことが分かった。このため、本件の毒物がニッカリンTであったならば、テップが検出される以上は当該成分が当然に検出されるはずであって、加水分解により検出されなくなるということはまずあり得ないといえる。したがって、本件の毒物は、ニッカリンTではなかった疑いが生じている。この点は、請求人がニッカリンTを所持していた事実は請求人を犯人と推認する意味を弱めるとともに、請求人の自白についても客観的事実と相反する疑いを強めている。
【自白の信用性の再評価】
これらの新証拠を含めて、新旧全証拠の総合評価によって、請求人の捜査段階の自白の信用性を再検討すると、自白には、ぶどう酒瓶を開栓した方法や、ニッカリンTを使用したことなど客観的事実に反する疑いがあり、犯行の機会の特定などの重要な点を含む多くの事項について合理的な理由のない不自然な変遷があり、赤色に着色されたニッカリンTを使用することについての不安、前夜の準備の際に来客があったことなど、真犯人であれば当然言及したはずであると思われる事項に関する供述がないことが目立ち、内容的にも動機、準備、実行、事後の行為の全部にわたって不自然、不合理な点が多く、したがって、自白の信用性には重大な疑問がある。
【結論】
したがって、情況証拠からは請求人が犯人であるとの推認はできず、自白の信用性には重大な疑問があるから、確定判決の有罪認定は、新証拠を加えることによって、合理的な疑いが生じているというべきであり、したがって、これらの新証拠が確定裁判における審理において提出されていたならば無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当するというべきであり、本件については、刑事訴訟法第435条6号の事由がある場合に該当するから、本件につき再審を開始すべきである。
毎日新聞 2005年4月5日 14時32分
【有罪認定の根拠】
確定判決が被告人が犯人であると認定した根拠は、その判決内容及び第5次再審請求に対する特別抗告審決定を踏まえると、次のとおりであったと認められる。
すなわち(1)犯行の機会、場所に関する情況証拠として、本件の現場である公民館内から本件ぶどう酒瓶のものと認められる王冠(耳付き冠頭と四つ足替栓)及び封緘紙の破片が発見されていること、その封緘紙の破片と瓶口に付着する封緘紙の破片の各形状から元は一体のものであったと認められること、開栓が2度された形跡がないことなどからすると、本件の毒物が混入されたのは、ぶどう酒が三奈の会の懇親会会場である公民館に持ち込まれた以後であり、公民館囲炉裏の間においてぶどう酒瓶が開栓されたときであったと認められ、したがって、本件犯行の実行が可能であったのは、三奈の会の総会が始まる前に請求人がただ一人公民館にいた10分間の機会以外にはなく、他の者には犯行可能性がなかったことが認められる(2)現場で発見された四つ足替栓(ぶどう酒瓶の二重王冠の内栓)の表面にある傷痕は請求人の歯の跡であると認められるという鑑定結果が確定判決での根拠とされていたところ、第5次再審請求で提出された新証拠としての新たな鑑定によりその証明力は大幅に減弱されたものの、請求人の歯の跡であったとして矛盾しないとの証明力を有している(3)請求人の捜査段階における自白は信用できる(1)によって、請求人が犯人であることにつき合理的な疑いを入れる余地がないとされたものである。
【新証拠及び新旧証拠の総合評価】
本請求の新証拠は、次のとおりであり、刑訴法435条6号の新規性が認められるところ、新旧全証拠を総合評価した結果、次のような疑問が生じている。
(1)偽装的な開栓方法と犯行の機会
弁護人らにおいて、本件ぶどう酒の耳付き冠頭、四つ足替栓、封緘紙について、証拠物の観察、分析及び当時のデータを基にして複製をし、これらを用いて開栓実験をした結果、その開け方によっては、封緘紙を全く破損することなく開栓することができ、その後閉栓することにより、外見上元どおりの状態にしておくような偽装的な方法による開栓が可能であることが判明し、実験の報告書及びその状況を収録したビデオが提出された。
この新証拠を含めて新旧全証拠を再検討すると、毒物混入のための開栓時に封緘紙が破れたことを前提にして、封緘紙の破片の発見場所を根拠に毒物混入の場所を特定することはできないこととなり、本件ぶどう酒が公民館囲炉裏の間に持ち込まれる以前に毒物混入が行われた可能性も生じている。すなわち、ぶどう酒が三奈の会会長宅に届けられた時点から、同宅での保管を経て、請求人が公民館に運ぶまでの時間帯においても、何者かによる毒物混入の機会があった可能性があることになる。そのため、ぶどう酒が届いた時刻に関して新旧全証拠の再検討が必要となった。その検討の結果は、ぶどう酒が三奈の会会長宅に届いた時刻は請求人が公民館に運ぶ直前ではなく、その1時間以上前であり、その間にも何者かによる犯行の機会があったという疑いが生じている。その一方で、本件では他の者に毒物を入手する可能性がなかったとの立証は十分に行われていない。したがって、時間的な犯行の機会としても、毒物を入手する可能性という手段としても、他の者による犯行可能性が否定できないことになっている。
(2)四つ足替栓の証拠物としての特定性
本件事件の発生後、公民館の四畳半の間で発見された四つ足替栓の足は1本が極端に曲がっているが、新証拠として提出された、この形成原因を解析した塑性力学の専門家である石川孝司作成の鑑定書等によれば、その曲がりは人の歯によって形成されたものではなく、替栓が瓶口に固定されている状態のまま栓抜きのような平らな物が横から当てられた場合に形成されたことが判明した。
この新証拠を含めて新旧全証拠を再検討すると、本件ぶどう酒に装着されていた四つ足替栓にはそのような物による力が加えられた証拠はなく、替栓の内側の色、古さ、発見場所等旧証拠から認定される事実からも、本件の証拠物である四つ足替栓は本件ぶどう酒瓶のものではなかった疑いが生じている。したがって、四つ足替栓の痕跡が被告人の歯によるとしても矛盾しないとの証明力を有していたとされる鑑定書は、その前提が揺らいでおり、歯で開けたという請求人の自白を補強する意味は大幅に失われた。
(3)本件毒物の特定
本件の毒物は、ぶどう酒の飲み残りを検体として実施されたペーパークロマトグラフ試験による鑑定の結果、テップ(テトラエチルピロホスフェート)が検出されたため、有機燐テップ製剤であると特定された。当時の有機燐テップ製剤には数種類があったところ、ニッカリンTには、その特有な製造方法から必然的に含有されることとなる成分(トリエチルピロホスフェート)があり、同試験で対照物として検体と同様の処理を経て検査され、比較対照されたニッカリンTの試験結果にはその成分が検出されている。しかし、検体からはそれが検出されていなかった。当時の研究者は、その原因を加水分解したためと推測していた。しかし、新証拠として提出された有機化合物の研究者である宮川恒及び佐々木満作成の各鑑定書等によれば、当該成分(トリエチルピロホスフェート)の加水分解速度はテップのそれよりもかなり遅いことが分かった。このため、本件の毒物がニッカリンTであったならば、テップが検出される以上は当該成分が当然に検出されるはずであって、加水分解により検出されなくなるということはまずあり得ないといえる。したがって、本件の毒物は、ニッカリンTではなかった疑いが生じている。この点は、請求人がニッカリンTを所持していた事実は請求人を犯人と推認する意味を弱めるとともに、請求人の自白についても客観的事実と相反する疑いを強めている。
【自白の信用性の再評価】
これらの新証拠を含めて、新旧全証拠の総合評価によって、請求人の捜査段階の自白の信用性を再検討すると、自白には、ぶどう酒瓶を開栓した方法や、ニッカリンTを使用したことなど客観的事実に反する疑いがあり、犯行の機会の特定などの重要な点を含む多くの事項について合理的な理由のない不自然な変遷があり、赤色に着色されたニッカリンTを使用することについての不安、前夜の準備の際に来客があったことなど、真犯人であれば当然言及したはずであると思われる事項に関する供述がないことが目立ち、内容的にも動機、準備、実行、事後の行為の全部にわたって不自然、不合理な点が多く、したがって、自白の信用性には重大な疑問がある。
【結論】
したがって、情況証拠からは請求人が犯人であるとの推認はできず、自白の信用性には重大な疑問があるから、確定判決の有罪認定は、新証拠を加えることによって、合理的な疑いが生じているというべきであり、したがって、これらの新証拠が確定裁判における審理において提出されていたならば無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠に該当するというべきであり、本件については、刑事訴訟法第435条6号の事由がある場合に該当するから、本件につき再審を開始すべきである。
毎日新聞 2005年4月5日 14時32分
「おたく」文化
「これが未来の文化の姿」と村上は語る。思想も物語もない幼児化した世界観。・・・(略)・・・ 「無意味で情けない文化は世界に浸透するだろう」。
2005.4.5 日本経済新聞『文化往来』「村上隆企画の「おたく展」、NYで開催」
2005.4.5 日本経済新聞『文化往来』「村上隆企画の「おたく展」、NYで開催」
