2005-08-16

「干からびたチーズ」という政治的言語

この干からびたチーズって実は高級品だったそうですが、小泉-森会談がうまく行ってたら、森さんもこのチーズと缶ビールは報道陣に見せなかったでしょう。

この「干からびたチーズ」は、政治的言語だと思います。

森さんは、たまたま手元にあったチーズを使って、「小泉さんは本気だよ」というメッセージを出したのです。手元にある材料をうまく使って、言うべきことを言えるのが政治家としての才能です。そういう意味では、森喜朗という人を見直しました。森さんが不機嫌だったのは演技ではないと思いますが、チーズと同様、森さんにとっては自分自身の不機嫌も政治的言語のボキャブラリーです。

派閥の大先輩であり前首相である自分を「不機嫌」にした人間だぞ、小泉というこの男は。それを言いたかったのでしょう。

自分の不機嫌とチーズと缶ビールの缶を使って、森さんは造反議員に「小泉には恐いものは何もない。解散は本気であって脅しじゃないから、否決するなら相応の覚悟をしておきなさい」という警告を発したのだと思います。そういう意図がなかったら、不機嫌もチーズも缶も隠したでしょう。

だから、あのチーズがミモレットという高級品だったというのは(ウンチクとしては面白いけど)ナンセンス。政治的言語としては、あれは「干からびたチーズ」で正解です。

同様に、郵政民営化、靖国参拝(しなかったこと)も政治的言語です。それを文脈から切離して、重箱の隅をつつくのは、「ミモレット」と同じです。正しいけどナンセンス。

森派、すなわち、福田赳夫の弟子は、こういう政治的言語をよく理解しているような印象があります。森、小泉、安倍、そして息子の福田康夫。みんな、今自分がついている立場で発言することが、どういう意味を持つのか意識して発言してます。

森さんの「不機嫌」はそういう政治的言語として見ると、小泉さんのアシストだったのかもしれません。小泉さんが言っていることを、森さんが違う言い回しでもう一度言った。一面では素でケンカしながらも、政治的言語としてそういう連携プレーが意図せずともできる所が、根っからの政治家だなあと思います。


essa氏「圏外からのひとこと」2005-8-15

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